何も起きなかった夜に、続いていた気持ちの話

進まなかった夜がある。
何も起きなかった、と言ってしまえばそれまでの夜。

言葉も、決断も、次の一歩もなかった。
ただ時間だけが過ぎて、
朝になったら、すべて終わったような顔をしていた。

でも、終わっていなかった気がする。
関係が進まなかっただけで、
気持ちまで消えたわけじゃなかった。

大人になってからの再会は、
なぜか若い頃よりも慎重で、
踏み出すことが怖くなっている。

失うものが増えたからなのか、
それとも、もう一度始める勇気が足りなかったのか。
理由ははっきりしないまま、
関係だけが止まっている。

何も起きなかった夜。
それでも、心や身体のどこかは、
確かに反応していた。

進まなかったことと、
感じていなかったことは、同じじゃない。

この夜に近い空気のものを、
ひとつだけ置いておく。